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Nishikenのホームページ

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サンガンピュールの物語(お菓子の国)13話

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 「言い忘れてたことがあったわ。安本から挑戦状をもらったわよ。詳しく話してほしいんだけど」
 挑戦状に書かれていた対決の内容を発表した。粉砕機を使ったチキンレースをやろう、と。そう、前日に人質の一人を惨殺する道具となったあの粉砕機だ。チキンレースなので、死んだり失神したりしたら負けである。より具体的には、粉砕機につながるベルトコンベアに身体を固定された状態から脱出できるかというものだった。生き残った方が勝ちという凄惨なサバイバルゲームなのである。
 サンガンピュールは熊田と日数谷を相手にチキンレースをすることになってしまった。ここで日数谷は一言。
 「お前に殺された名古路ほか仲間の仇、ここで討つ!」
 「それはこっちの台詞よ!」
 相変わらず彼女は勝ち気だ。だがここで最大の障壁が現れた。熊田は言った。
 「フッ、・・・懲りない奴だな。相変わらず俺とやる気満々だな」
 「そうよ!」
 「では・・・、武器を捨てろ」
 サンガンピュールは「ぐぬぬ・・・」としかめっ面の表情。「譲れない」と言いそうな顔をしていたが、
 「早く捨てろ!!」
 という熊田の要求に応じざるを得なかった。彼女は素直にライトセイバーと拳銃を捨てた。
 「それでよろしい」
 熊田はそう言って、彼女の武器2種類を遠く離れたところへ置いた。
 「フッ、俺の蹴り技に全く太刀打ちできずに無様な姿を見せられた。そしてお前らから見れば、仲間が一人殺された。なぜそこまでして我々の邪魔をするのか」
 「お菓子の国を守るためよ!」
 「ふん、あんな奴らなんか、お前が守る価値もないクズだ!」

 「クズとは何よ!・・・確かにあんた達と関わっていたことがあるとは知らなかった。でも!お菓子の国の職人さんは、みんなを喜ばせようと頑張っている。青木さん、北条さんも、あたしとおじさんに約束した!
 悪いことばかりしているあんた達と比べて、だ~いぶマシだわ!」

 「青木と北条が、手を組んだだと・・・」
 熊田は一瞬、驚きの表情を見せた。犬猿の仲の2人が協力したことが予想できなかったからだ。
 「早いとこ、やっちまおうぜ」
 日数谷が急かす。
 「よし、今からお前にはチキンレースに参加してもらう。途中で逃げたり、武器を使ったりと変な真似をしたら、人質の命は無いぞ!」
 「いいわ」
 「じゃあ、コイントスで先攻・後攻を決めようぜ」
 コインの裏が出たらサンガンピュール先攻だ。結果は裏だった。彼女は早速ベルトコンベアに身体を固定された。日数谷がベルトコンベアと粉砕機の電源を入れ、稼働させた。身動きが取れないサンガンピュールだが、実はもがいていた。何を考えているのか。彼女はここで粉砕機の主電源は右手側にあるのを発見した。手錠で頑丈にロックされている右手からフォースを出した。電撃が発せられ、主電源はオーバーヒートで止まった。ウルトラCの手段で粉砕機を停止させた。これに熊田が激怒した。
 「ふざけた真似しやがって!冗談抜きでてめーの息の根を止めてやる!!」
 彼女は何とかして手錠を外そうとしている。右手の先の神経から出る電撃を右手側の手錠に浴びせたところ、自然に外れた。だがもちろん左手側もやらなければならなかった。そうしている内に熊田は彼女に対して華麗な回し蹴りを見せつけようとしている。
 彼女はこのチキンレースに参加する気持ちはさらさらなかった。騙し討ちするためにゲームを放棄し、熊田、日数谷の2人に素手で勝負を挑む形となった。しかし素手となると別人のように弱くなるサンガンピュールだ。さらに日数谷が長刀を持ってきて応戦してきた。

 最終決戦として熊田吾郎と対戦することとなった。熊田はムエタイファンであることが高じて、足技で勝負する。そのレベルはサンガンピュールでさえも太刀打ちできない程の最強クラス。
 熊田は右足で彼女の腕やすね、ふくらはぎなど数か所を連続して蹴る。しかも1分間で100発前後の蹴りを入れるのでスピーディーだ。途中何度か軸足を左から右に変えた上で、左足で彼女の顔や腕、腹など身体の至る所を狙った。彼女の眼をそらすためにボクサーのように両足で複雑なステップを踏んだ。そして彼女の目がまだ眩んでいるうちに連続攻撃を再び入れる。遂にサンガンピュールは熊田の右足を掴み、右足での攻撃を封じたように見えた。2人は抱きかかえる状態となったが、熊田はサンガンピュールの右足を自分の左足で強く押した。ただでさえこれだけで大きな痛みが出てくるのに、さらに顎で彼女の右目にグリグリと圧力を加える。しばらくして彼女は強引にその状態から脱したが、まだひるんでいた。その瞬間、熊田は回転しながら襲いかかった。そして右足で強烈なかかと落としを彼女の腹に入れた。直撃を食らった彼女は言葉にならない悲鳴をあげ、さながら断末魔のようだった。そして熊田が彼女を引き摺り、粉砕機の前のコンベアにセットし、チキンレースの続きをさせようとした。もはやこれまでか。
 今度は日数谷が長刀で彼女の首を刺そうとしたが、またもや電撃が発せられ、日数谷は顔を覆った。長刀は横に倒れ、彼女は運よく助かった。
 しかし、日数谷がひるむ様子は全くなかった。その長刀を拾い、サンガンピュールに立ち向かった。

 「これで、終わりだぁぁっ!」
 
 日数谷がそう叫んでとどめを刺そうとした。この絶体絶命のピンチをどう切り抜けるのか?その時、彼女は卓球の練習で培った冷静さを見せ、天井をふと見上げた。

 (第14話に続く)


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